始まりの料理

 

「あ〜お腹空いた!」


そう言いながら帰ってきたのは夫の和君。

 

「今日何〜?」

 

と聞きながらダイニングテーブルを見回す。

 

「お!この前美味しかったやつー?」

 

そうだよ。ハンバーグだよ。と返事をする私。
最近、夫はご飯を美味しいと言ってくれるようになった。付き合って2年弱、最初の頃はもちろんご飯を食べるたびに美味しいと言ってくれていた。だが、一緒に住んでから徐々に美味しい?と聞いても「まぁいんじゃない?」とか適当にあしらうよーになった。

 

 

見た目に自信のない私は胃袋を掴もうと決めていた。そんな私もご飯作りが毎日となってくると、似たようなおかずのルーティンになっていて、ご飯作りも作業になっていた。

 

 

入籍したのは三ヶ月前。その日のご飯も作業で適当に肉と野菜炒めて夫の好きな生姜焼き風に味つけるだけ。夫の反応もいまいち。

そんな時,夫の上司から魚をもらった。まるまる一匹。いや二匹。40センチ越えの大きな武大とゆう魚。聞いた事もない魚を私は捌く事に。魚を捌いた事のない私は包丁で鱗をとるのが怖かった。その日はもう遅かった為、次の日鱗取りを買いに行くことに。

 

 

翌日、鱗取りを握りしめ武大と向き合いいざ3枚おろし。YouTubeを見ながら慎重に慎重に。鱗を落とすのに時間がかかる。飛び散る鱗が顔についた。さぁーいよいよ捌くぞ!武大の頭を落とした。あれ?意外に簡単?と思ったのも束の間。内臓が〜!破れて中が出てきてる。夫の上司曰く内臓は生臭いとの事。早く取り除かなければ!四苦八苦しながら内臓を取り出し、魚の中を綺麗に洗う。

 

「ふぅ」

 

とため息がでる。あ!写真撮らなきゃ!こんな大きな魚を捌く事なんて珍しいから私は記録に一肯定ずつ写真を撮っていたのだ。
内臓は取れた!次は3枚におろす。背中側から筋を入れて少しずつ切れ目を深くしていく。背中が終われば次は腹の方から切れ目をいれてく。お!意外に綺麗に下ろせたぞ!と、思ったのも束の間、骨に沢山の身が…。

ちょっともったいないからスプーンで削いで刺身にしよう。
三枚おろしにした武大を見て私は大満足だった。

 

 


さて、どんな料理にしよーか?上司の新井さんがムニエルが美味しいと言っていたな。

 


今日の夜ご飯はムニエルで決定〜!

 

①捌いた切り身に塩を振り10分寝かせる。汁気が出たら、キッチンペーパーで拭き取る。
②小麦粉をまぶす。
③フライパンを中火で温め、バターを一欠入れる。
④武大をフライパンにいれる。皮面から焼く。
⑤塩一振り、胡椒ひとつまみ、酒大さじ2を入れて、蓋をして蒸し焼きに。
⑥5分経ったら、ひっくり返す。次は3分焼く。
火が通ってるのを串で確認したら、出来上がり〜!

 

お題「ささやかな幸せ」

 

 

さぁー夫よ!早く帰って来い!君の上司が釣ってきた魚が一つの料理になったよ。
召し上がれ。